第39章 dignity ■
「いきなり他の男のこと下の名前で呼んだりさぁ、僕を差し置いて妙に優しくしたり、おまけにキスマークまで豪快に付けられてきて…
これにキレない彼氏っているか?」
「・・・」
「なぁ?どう思う?ん?」
確かに考えてみたらそうだ。
むしろブチ切れるのが当然の反応だろう。
悟はかなり寛容だ…
そう思えてきてしまい、申し訳なさで言葉が詰まる。
「えっと……」
「答えろよレイ。逆の立場だったらどう思うんだ?」
五条はそう言ってからハッとなる。
脳内に、今日 伏黒に言われた言葉がリフレインした。
"あの人にとっては、夏油傑が1番なんですよね。
昔も、今も、ですよ
あの人はまだ、過去を生きてる。今を生きてない。
あの人は、五条先生のこと本当に好きなんでしょうか
純粋無垢で、流されやすくて、絵に書いたような善人…そんなあの人に、無理をさせてんのって五条先生なんじゃないんですか?"
あ〜そっか、やっぱり…
答えられないってことは…