第39章 dignity ■
一緒に歯を磨き、髪を乾かしたあと、手を繋いで歩いていく。
リビングではクマがルンバに乗りながら読書をしていて、ぶつぶつ何かを呟いている。
ルンバが踵を返す度に乗っかっているクマもそれと同時にその方向を向くので滑稽すぎて思わず笑ってしまう。
ひとまず水を飲んで火照った体をクールダウンした。
「クマポンのおかげでいつもうちはホコリひとつないよ」
「ねぇ、クマ?ここ電気消すよ?」
「……おう」
聞いているのかいないのかまだブツブツ言いながら読書に夢中でテキトーな返事のクマだが、暗闇でも目が見えるのでとりあえず電気を消す。
そこを通り過ぎて、2人の寝室となった部屋へ入り、ベッドの前へ行くと今更になって一気に緊張感が登ってきた。
まさに今から、さあ始めましょう。
みたいなこの状況がなんとも言えない奇妙な感情を抱かせる。
ボーっと突っ立っていると、突然自分の体がブワッと宙に浮き、勢いよくポンっと放り投げられてたちまち五条が覆いかぶさってきた。