第5章 possession
五条と並んで夜道を歩く。
夜なのに相変わらず五条はサングラスをしていて背も高いので未成年とは気付かれにくいだろうと思った。
「今日は星も月も綺麗だなぁ〜」
レイがそう言って空を見上げたので、釣られて五条も空を見上げる。
夜空を見上げたのなんてどれぐらいぶりだろう。
「レイって意外とロマンチスト?」
「はは…そうじゃなくって、単に夜空が綺麗だと気付いたのって最近だから。」
五条はレイに視線を移す。
月の光に照らされると、耳に輝くピアスたちが眩しいくらいにキラキラと光っていて目を細める。
そこには夏油があげたルビーもこちらに光を刺してくる。
「それを気付かせてくれたのは傑だって言いたいんだろ?」
「もちろんそうだよ?」
夜空からパッと視線を移してこちらを見るレイはどこか照れたような笑みを浮かべている。
「…ちょっと聞きたいんだけど、あいつのどんなとこがいいの?」
「…えっ?」
突拍子のない質問に、レイは一瞬目を見開いたかと思えばまた先程のような笑みを浮かべて眉をひそめだした。
「そうだなぁ…私のことをちゃんと見ていてくれてるところ。考えてくれてるところ。そもそも傑はさ、私の命の恩人だし、人生を切り開いてくれた人なんだよ。私にとっては神様そのものって感じで…うーん…なんだかうまく言えないや…」
ははっ…と笑うレイを五条は訝しげに見る。