第5章 possession
「なぁレイ、それってさ…なんか好きとは違くねぇ?」
「…はい?」
そんなふうに返されるとは思ってなかったので驚きの表情で五条を見つめる。
歩みは進めたまま、五条は前を向いて冷淡な声を出した。
「それってさー、なんか恋愛的な感情じゃなくて、酔狂的な感情なんじゃね?」
「・・・え、なにそれ。意味わかんないんだけど。
ほとんど一目惚れだし、好きで、一緒にいたい、触れたいとか、そんなふうにいつも思ってるんだから普通の恋でしょ。」
「あいつに最初から心を奪われて、それがレイの人生の中心事になってるだろ?逆にそれは、道を見失ってるも同然だ」
珍しく真剣に強くそう言われ、口を噤んで足元を見る。
夜ってこんなに静かだったっけ、と思うほど、2人とも黙ると静寂に包まれた。
「…傑が白と言えば白だし、黒と言えば黒だろ?YESと言えばYES、NOと言えばNO。こっちの道だと言われれば迷わずついていくだろ。
なぁ…俺が言いたいこと分かるだろ?」
「…や、まぁ、分からなくはないけど。確かに私はずっと傑の隣にいたいし、なにがあってもついていきたいと思ってるよ。愛してるからね」
レイもあえて強く言い返した。
そしてこれはもちろん素直な本心だ。
「そう、つまりはそういうことを言ってる。どんどん道が逸れて、依存していってるように見えるんだよ。」
「何が言いたいの?私が傑に騙されてるとかそーゆーこと言いたいの?それとも私の恋情自体が間違いとか?そういうこと?」
「違う。俺は単純に、ただ…」