第39章 dignity ■
昔、いつの日だったか、
"怖いんだ…こんなにこんなに…
どこまでも幸せな日常がいつか、
…壊れちゃうんじゃないかって……"
そう言って、五条の前で初めて涙を見せた時があった。
そして、本当に壊れた、あの頃の幸せ。
今のこの幸せは?
大丈夫だよね。
きっと、ずっと、幸せなままだよね?
壊れることなんてないよね?
幸せを感じれば感じるほど、
怖くなる。
だからずっと、気付かないふりをして
逃げていた、避けていたのかもしれない。
悟のことを…。
もう嫌だよ、あの頃みたいな辛さ。
今度こそ耐え切れる自信がないよ…
"悟は私を幸せにしてくれるの?"
"するよ"
"私はまたお姫様になれるの?"
"なれるよ"
"幸せになれる?"
"なれるよ。僕がそうさせるんだから"
悟はそう言ってくれたよね。
だからきっと…大丈夫だよね。