第39章 dignity ■
「違うだろ、五条。
あん時お前が言い出した約束は、
"悲し涙を流させない努力をする" だ。
…お前はずっと守れてた。」
麦茶を注ぐ手をピタリと止める。
五条のその様子をクマは瞬きをしながら見つめる。
「お前が1番、守れてた。誰よりも。
お前だけは、おいらとの約束を破ってない。」
氷がカランっと溶けた音がやけに大きく響いた。
「その約束も、最後まで守れよ。五条悟。」
おいらは、約束を守る人間が大好きだ。
認めてやるぜ…お前とレイの仲を…。
そう呟くクマに、五条は切なげに笑った。
「…ありがと。任せとけ。クマ野郎。」
「おう。破ったら殺す。」
「はいはい。」
冗談に聞こえないから怖いんだよな〜
と言いながら、レイを起こしにかかる。