第39章 dignity ■
しばらくしてようやくパッと唇を解放され、唾液まみれのレイの口元を、五条が猫のように丁寧に舐めとっていく。
「ん…っ…はぁ…はぁ…ーん…」
「ふはっ…いいね…その顔…」
片手でレイの体を支えながら、もう片手で顎を掴んで目と鼻の先で見つめ、目を細める。
「はぁ…はぁ…やめて…こんなとこでっ…なんで…」
「は?ホントにさぁ…」
五条は呆れたようにため息を吐いたあと、睨むような眼光をその痣に向けた。
「…どいつもこいつも、
僕のことナメてくれちゃってさぁ」
くそ…マジイラつく…
これ大人げないかな?
いや、そんなことないよね?
むしろ僕寛容すぎやしないか?
五条はフッと黒く笑った。