第39章 dignity ■
「…えっと…よく分かんなかったけど…その…さっき恵くんに1本取られて乗っかられたとき?…にかなぁ?」
「他にも何かされなかった?」
「え、他に?んー…わかんないなぁ…」
額がつきそうになるくらい顔を近づけてレイの顔をジッと見つめる。
嘘ではない…ぽい。
てことはこの痣は…
呪力かなんかを溜めて一瞬でつけたとか?
いや、違うな。
こんなに形のいい痣…
って何褒めちゃってんの僕。
まぁなんでもいい。
気が付かないとかもうヤバすぎると思うし、
いずれにせよ…
「… レイ。
マジ、隙見せすぎ…」
唸るように低い声でそう言い目の前でグシャッと絆創膏を潰し跡形もなく消し去る五条にレイはビクッとなる。
「え…あ…ごめん…?」
どうしよう。なんか悟怒ってる?
また両手首を掴まれたかと思えば、頭上で一纏めに貼り付けられる。
「っわ!…ぇっ…」
瞬時に唇を塞がれ、乱暴に舌を割入れられた。
口内を荒々しく掻き混ぜるように舐められ、逃げ惑う舌を追い回されて絡め取られ、そして強く吸われる。
「んんっ…ーん!…んっ…む…っ」
苦しくなって顔を背けようとするが、壁と五条に強く挟まれていてそれが叶わず、懸命にキスに応える形になってしまっている。