第39章 dignity ■
五条が廊下を歩きながら明るい声を出した。
「どーだったー?恵は?」
「あーうん。とっても優秀だと思ったよ?
私1本とられちゃったもん〜」
「えっ、マジー?」
「うん!すごい速くなってたし力も強くなってたよ!」
「そういえばレイに言ってなかったけど、禪院甚爾覚えてる?」
「えっ、あっ、うん…」
確か昔、悟と傑に致命傷負わせた、過去唯一2人をそんなふうに負かしたほど圧倒的強さだった男の人…。
天内理子ちゃんを殺して…、私もいとも簡単に痛めつけられて……で、最期は悟とやりあって殺された…
思い出していると、とんでもない言葉が降ってきた。
「それの息子だよ、恵は。」
レイは立ち止まって目を見開いた。
「え」
五条も立ち止まってレイを少し斜め前から振り返って見た瞬間、五条の目がこれでもかというほど見開かれる。
「ひぁっ?!」
突然、レイはドンッと壁に押され、背中をついた。
五条によって両手首を壁に貼り付けられ、一瞬のことに唖然とする。
五条の見開いた碧眼はサングラスの隙間から上目遣いにジッと首筋に向けられている。
「…なっ、なに?!」
「は…なにって、こっちが聞きたいんだけどねぇ…」
睨むような視線がまじまじと首元に注がれていて、レイはハッとする。
そういえば…さっき首に何かされた様な気がしたけど…