第39章 dignity ■
「俺… レイさんのこと、好きです。」
突然のその言葉に、聞き間違いかと思ってレイは首を傾げる。
「っえ?…今なんて?」
「誰よりも優先して助けたいって思う。
不平等な俺にとって、レイさんが今は1番そういう存在。」
真剣な眼光で見つめられ、その漆黒の瞳に引きづりこまれそうになる感覚がした。
「えっ…と…ありがとう?…伏黒くん…?」
「てか、俺のことも下の名前で呼んでくださいよ」
「あ、そうだね。恵くん。ふふ…」
「レイさんって、まだその人のこと忘れられてないんですよね?」
「えっ…」
「引きずってるんですよね?」
「…っ…」
連続するその問いかけには言葉に詰まり、つい目を逸らしてしまった。