第39章 dignity ■
「…伏黒くんこそ善人だよ。だって…」
レイは、伏黒の言っていた言葉を思い出す。
"俺は… 自分が助けたいと思った善人だけは、不平等だろうが絶対に助けたいんです。不平等な現実のみが平等に与えられている…そんな世の中に…少しでも抵抗したかったから"
「あのね、伏黒くん聞いて。
私の大切だった人もね、人が許せなくて、それで道を変えて離れていってしまったんだ。私は最後まで止められなかった。」
伏黒は全てを察した。
やっぱり…そのペンダントに入っているであろうその人は、この人が何度も名前を呼んでいたその人で、呪詛師に堕ちた…あの人のことだ。