第39章 dignity ■
「……伏黒くん?」
いつまでも自分から退いてくれずに真顔で見下ろしてくる伏黒に、レイは目を瞬かせる。
「… レイさん…」
「…うん?」
突然ビリッという音が聞こえたかと思えば、伏黒の顔が自分の首筋から離れていったところだった。
「っ!…え?」
それが全て一瞬のことで、何が起きたのか全く分からなかったが、気がついた時には伏黒に手を引かれて上体を起こされていた。
「??…あ…ありがとう…」
「はぁ…いえ。」
伏黒が水のペットボトルを持って、1つをレイに渡し、隣に腰を下ろす。
「伏黒くん、さっきのホント良かったよ!
今度クマにも相手してもらったら?
前に虎杖くんや釘崎さんの稽古もつけてたし。」
「…はい。そうですね。」
嬉しそうに水をごくごく飲んでいるレイを横目で見る。