第39章 dignity ■
スパッ!
「っぁ…!」
レイが目にも止まらぬ早さで伏黒の腕を後ろからひねりあげていた。
「っつ…っ…」
「あっ、ごめんっ…」
パッと腕を離され、伏黒は肩を回しながら腕をさする。
「あっぶねえ…折れたかと思った…」
「ほんとごめん!」
謝られると余計に情けなくなる…
くそ…
俺ってこんなに弱いのか…?
その後、何度も何度も稽古を交え、徐々に伏黒の動きが変わっていった。
「うんっ!いいねいいね!掴めてきてるよ伏黒くん!」
「…くっ……!」
どちらの額にも汗が滲んできている。
シュッー
パシッー
「っわあ!ー!?」
ついに、伏黒がレイを押し倒し、1本とった。
馬乗りになられているレイは息を切らしながら嬉しそうに笑った。
「すごーい!!おめでとー伏黒くん!」
伏黒はそのまま、レイの首筋の痣を見下ろす。
あぁ…なんでこんなにムカつくのか、
その違和感にやっと気がついた。
俺って…この人のこと…