第39章 dignity ■
伏黒はため息を吐きながらそれを受け取る。
「あぁ…いいのにこんなの…」
「それからこれっ!」
そう言って笑顔で差し出された小さな紙袋。
中身を取り出すと、透明の袋に包まれている新品のタオルハンカチが入っていた。
しかも……
「…プーさん…ですか…」
「うんっ!やっぱ伏黒くんにはプーさんだよねっ!」
満面の笑みでそう言われ、なんて返していいのか分からずにとりあえず礼を言ってプーさん柄のハンカチを受け取った。
「あ〜、そっかそれ昨夜また私が貼ったんだったよねぇ〜」
ケラケラと笑って言うレイの視線は、伏黒の手の甲。
プーさんの絆創膏は、剥がさずそのままにしてある。
こんな笑顔を向けられてこんなことをされたら、剥せるわけはない。
伏黒は何も言わずにフッと笑った。