第39章 dignity ■
五条はレイの上半身を起こして抱き締めた。
「…ありがとうね」
「……え?」
「僕すごい嬉しい…」
「………」
耳元で囁かれるその静かな声色が、なんとなく切なげで、レイは無意識に背中に手を回した。
「私も…嬉しい…よ…それに……
ありがとうは私のセリフだよ…」
"昔も今も、レイはレイだ。
レイは僕にとって、ずっと特別だった。
特別だから…もしレイが許すのであれば僕は…
死ぬまでレイを離さない。"
「今まで生きてきて一番嬉しい言葉だった。許されるのであれば私は…悟のお姫様でいたいよ…それに……」
レイは五条のこめかみ辺りに唇を付けた。
「今までずっと…いつも…私を見ていてくれて…支えててくれたのは…悟でしょ。でも私もこれからは悟を支えたいよ。」
「…… レイ…」
五条はたまらずギュッと腕に力を入れ、レイの髪に何度もキスをする。
そんなに煽るなよ、マジ隙ありあり姫。
くそ……
本気で頭おかしくなりそ……
でもさ、正直まだ、
いろいろ不安だよ。