第39章 dignity ■
バチッ!パギンっ!
「お前こそ朝帰りなんて酒乱クマかよっ!
酔っ払ってんの?」
「死ねぇぇぇええ!!」
「ちょっ!服くらい着させてくんない?!
裸で死ぬなんてやだあ〜」
「安心しろ!跡形もなく消してやる!!」
レイはいてもたってもいられなくなって大声で叫んだ。
「やめてクマ!!!!!!!」
ピタリと止まったかと思えば、一瞬でクマは目の前の布団の上にいる。
「…っわ!えぇ?」
クマはジロジロとレイの剥き出しの上半身を見回し顔を顰めた。
「…おまっ…大丈夫じゃ…ねぇな…
無抵抗の状態でやられたのか?」
「っえ?」
レイはおずおずと自分の上半身に視線を移す。
「っっ!!!」
その状態に声すら出なくなった。
赤い鬱血痣がいたるところに散りばめられている。
気付かぬうちに五条に付けられまくっていたようだ。
クマは案の定、ボワッと毛並みを逆立て、目を三日月形にし、青い炎を滾らせギロリと五条の方へ視線を流した。
その姿に、レイは冷や汗をかいてハッとなる。
「ぅあっ!クマ待って!あのね!これはそのっ」
「待ってろレイ。一瞬で仇をとってやる…」
「あっ、ちっちがっ!待ってっ!」
クマは目にも止まらぬ早さで五条に飛びかかっていった。
「終わりにしてやる!!このフルチン変態ゲス野郎っ!!!」
「クマ聞いて!!これは合意の上なの!!!!!」
「?!?!?!」
ピタリとクマは空中で動きを止め、振り返った。
「なんだって……」
「おいくまァ〜、そろそろ察しろぉ…」
五条が呆れたようなトーンの低い声で言うと、クマを瞬時に脇に抱えてベッドに戻ってきた。
「っ!離せマッパ野郎!」
「あいよ」
ストン。
ベッドの上に座り込む3名にしばしの沈黙が流れる。