第5章 possession
「あぁ…もちろん…」
レイの頬を撫で、髪を耳にかけてやると、彼女は照れたような表情を一瞬見せた後、困った表情に変えはじめた。
「で、でも…どこに?」
その言葉に噴き出す夏油。
「なんだよ、さっきの勢いはどこへ行ったの。
…どこでもいいさ。レイが満足する場所につけなよ…思う存分ね…」
「じゃあ…見えるところに仕返ししてもいい?」
「あぁ。むしろそうしてもらわないとな…」
目を細めて見上げてくる夏油があまりにも艶めかしく映り、レイは視線を逸らした後、恐る恐る首筋に口を押し付けた。
こんなこと初めてだから力加減がわからない。
そのせいか、唇を離しても、たいして赤くはならなかった。
「…あれー…ダメっぽい。私にはできないのかも」
「っはは…そんなことあるか。…このくらい強くやるんだ」
そう言って夏油はガバッと起き上がり、はだけているレイの胸元へまた吸い付いた。
「…ん…あ…できるかなぁ。」
「できる。さぁ、やって。」
腕を引かれてあぐらをかいている夏油にまたがる形となる。
グッと腰を引き寄せられ、彼の両肩に手を置く。
おずおずと首筋に口をつけると、優しく後頭部に手が置かれるのがわかった。
鼻から大きく息を吸って、思い切り吸い上げる。
何秒間もそうしたのち、唇を離すと、その首筋には自分と同じように赤い花が開いていた。
「わーできたぁっ。」
初めて逆上がりができて喜ぶ子供のようにうれしそうに笑うレイを心底可愛く思って衝動的に唇を奪う。
それはチュッと音が鳴って離れた。
「おめでと。」
「でもまだいいよね?だって私は今、3つもある。」
その言葉に夏油は目を見開いたが、またすぐに弧を描いてレイの髪を撫でる。
「共有点を増やすのはいいもんだね…」
「でしょ?」
無邪気に笑う彼女と、愛おしそうに見つめる彼。
何度も挑戦した結果、2人は同じ数だけ所有印を刻んだ。
全部でいくつあるかは2人にしか分からないが、ぴったり同じ数字を。