第5章 possession
「んっは…はぁ…はぁ…」
「ははっ、やっぱりこの顔好きだな…」
艶めかしく濡れた口元のままレイの頬を手の甲で撫でる。
「すぐっ…る…やっぱりキスマークは…だめ…」
息絶え絶えにそう言うレイにいたずらっぽく笑って夏油が言い返す。
「ん?なぜー?」
「だ、だって…皆気付いてて恥ずかしいよ…あ、灰原くんだけは違ったけど…さ…」
「…灰原…はははは。さすがだな彼は。」
「…っ、とっとにかく」
「なら誰も気が付かない場所ならいい?よな…」
「・・・」
そう言って愛おしそうに首筋の痣を見つめた後、言葉を探して視線を泳がせているレイを無視して服のボタンを開け始めた。
「っ!…」
顔を埋められたかと思えば、チリッとした僅かな痛みを感じ、胸の上あたりに吸いつかれたのだとわかる。
顔を上げた夏油は満足そうにレイを見下ろし頭を撫でた。
「ん。よし。」
「よ、よしって…これってそんなに重要?」
「あぁ。重要。本当なら見えるところに付けないとだけどね…」
レイは起き上がると、一気に夏油を押し倒した。
「っ!…驚いたな、そんな力あった?」
夏油は目を丸くするが、レイはどこか悔しそうな顔で見下ろしている。
「そんな重要なら…私もつけていいよね?」
夏油の胸元の襟をギュッと掴みながらそう小さく言うレイに夏油は微笑みかける。