第38章 voyage ■
「本当は…喉から手が出そうなほどレイが欲しかったんだよ…でも衝動を必死に抑えてた…」
奥歯を噛むような声に耳を傾ける。
五条のトクトクとした心音が大きく鼓膜を揺する。
「だけどもうさすがに僕も驚喜が隠せない。
もう我慢も妥協もしない。」
真剣で強い声色でそう言ったあとレイの顎を上に向け、視線を合わせた。
見上げると、五条の僅かに揺れている青い眼光に射抜かれる。
「だからこっから先、死んでも僕だけの姫だよ。
もう逃げられないからね…」
「…うん。」
ゆっくりとキスが落とされ、熱い舌が艶めかしく口内を蹂躙する。
奥から舌を絡まされ、吸われたかと思えばあちこちを舐め取られ徐々に力が抜けてくる。
上手すぎる…
こんなに気持ちのいいキスは初めてかもしれないとレイは思った。
長い長い口付けからようやく解放されゆっくりと目を開けると、口角を上げている五条が視界に映る。
「ふっ、レイの口の中の弱いとこ、ぜーんぶ見つけた」
「っ……さと…る…」
「ん?」
「もっと……キス…したい…」
その言葉に、五条が一瞬驚いたような顔を見せたかと思えば、目を細めてレイの唇を指でなぞりながら言った。
「じゃあ、選んで。」
「…え?」
「いち。…小鳥みたいに何度も優しいキス。
に。…猫みたいにじゃれ合いながらキス。
さん。…オオカミみたいな激しいキス。
…さぁ、お姫様、どれをご所望かな?」
レイが目を見開いて固まっていると、五条はクスクスと笑いながらギュッと抱き締める。
「かわいすぎなんだよ…バカ。」
「っ…」
「朝起きた時のお楽しみにとっとく。
それまでに決めといて。…クスクス」
「ねぇ……悟…」
「なあに?…クスクス」