第38章 voyage ■
レイはギュッと五条の背中に腕を回す。
一気に睡魔が襲ってきて目を閉じる。
うわ言のように自然と口が開いた。
「私は今……
すごく…すごく…幸せだよ…」
五条の笑い声がピタリとやんだ。
「ありがとう…
たった1人の
私の
…王子様……」
ハッと見開かれた五条の瞳が激しく揺れ動いた。
顔を歪め、グッと奥歯をかみ締めてレイを抱きしめる腕を強める。
「っう…悟?…くるし……」
「… レイ…っ…」
ギュっと閉じられた五条の目から1粒の雫がこぼれ落ちた。
絶対に幸せな完結にすると誓う。
「僕をっ…信じてね…
この先何があっても…
"約束" して。」
レイの最後の返事はキスだった。
彼女からのキス…
それは、今までずっとずっとずっっと待ち続け、
求めてきたもの。
あぁ、そうか。
100年の眠りから覚めたのは…
僕だったのかもしれない。