第5章 possession
夏油の部屋をノックすると、やはり部屋にいたようですぐにドアが開き、瞬時に腕を引かれ部屋に引き込まれた。
ギュッと抱き締められ、背中をさすられる。
全てが一瞬のことすぎて唖然としていると、小さな声が耳元で聞こえた。
「…体調とか、ホントに大丈夫か?」
呪霊を飲んだことを未だ気にしているようだ。
「あぁ、大丈夫って言ったじゃんー!ホントに大丈夫なの!」
明るく言うと、腰を引き寄せられて顎を掴まれる。
目と鼻の先で、真剣な瞳でジィっと見つめられるので、跳ねる鼓動を誤魔化すように笑った。
「けっこー心配性だよねぇ」
「…本来たいして心配性ではないんだが。
君のこととなるとね…」
視線が首筋に注がれるのがわかる。
夏油は痣を見たあとフッと笑った。
「ちょっと薄くなってきたね。付け直していいかい?」
「えぇっ!ちょっと待って待って!」
そんな声は無視して抱えあげられ、ベッドに押し倒された。
言葉を発しようと口を開くも瞬時に塞がれ、舌が割り込んでくる。
「んんっ!…んー…っ!」
抵抗する両手は頭上で一纏めにされ、もう片手で顔を固定するように顎を掴まれ、逃げ惑う舌を追いかけれるように絡ませられた。
何度も角度を変えて口内を蹂躙されているうちに徐々に力が抜けてしまい、甘ったるい吐息しか漏れなくなってきてしまった。