第38章 voyage ■
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「はっ。気付くのに何年かかってんのお姫様。
ようやく100年の眠りから覚めたか?眠り姫。」
覆いかぶさって笑みを浮かべている五条の頬に手を伸ばす。
「う…ん…覚めた…よ。」
宝石のような蒼い眼光が切なげに揺れた。
その眩しさにレイは目を細める。
「そういえば…悟が言ってた、1番お気に入りの言葉…
わかった気がする……あれ、かな…アリエルの…」
when reality bites you hard ,don't give up on your dream your efforts will be rewarded. please hang on there.
there is always hope even if you can't see it .
目の前の現実が辛くて もう希望が見えなくても必ず報われる時がくるから。そう信じて今は耐えよう。いつかの幸せのために。
五条はくすくすと笑い、ブッブー!と言った。
「Someday I'll be part of your world.
……これだよ。」
"いつか、あなたの世界の一部になってみせる"
レイは目を見開いた。
それではないだろうと閉じたページだったから。
でも…悟はずっとずっと前から…あの頃から…
私の物語を作ってくれていただけじゃなくて、
ちゃんと、一部だったよ…
それに…ちゃんと、
…空…だったよ…
「僕の言いたいこと、わかった?」
「………うん」
「ねえ…僕は……」
五条の眼光が真剣な眼差しを帯びて見下ろしている。
鼓動がどんどん早くなっていき、顔が熱くなってくる。
「僕は…… レイの何?」
以前にもされたその質問に、
レイは真剣に返す。
「……悟は……友達だし、仲間だし、
今は家族…だし…」
でも……