第38章 voyage ■
「あ〜じゃーさ、わかったわかった。」
「え?」
「俺が1枚噛んでやるよっ。感謝してよね〜ったく…」
で、僕は早々に傑に言った。
「ねぇねぇ今更だけどさ〜、お前はレイのこと大好きだよな〜?」
「ん?あぁ。もちろんそうだけど?君も硝子もそうだろ。」
「ちげーよ、そーいうんじゃなくって!
恋愛的な意味ですけどー?バカにしてるー?」
傑は一瞬驚いたように顔を上げたが、また目を細めて笑った。
「…まぁ好きではあるけれど…だからどうこうしようとは思わないよ。」
「は?どういうこと?
あいつも傑のこと好きだってとっくに気づいてるだろ。
両想いなんだぞ?早くくっつけよ」
「…私は見合わないよ、彼女にとって。
真っ白すぎて…私はそんなレイを…
汚したくないし、傷つけたくないんだ…」
あまりにも切なげな顔をしてそんなことを言うから僕は心底苛立った。
傑といいレイといい…こいつらなんなの。
「なあ傑…だったらさー…
俺とか他の男に嫉妬するようなこと言ったり独占的なことレイにすんなよ。」
その言葉に、傑はピクリと眉を動かした。
「あいつのことそうやっていつまでも弄ぶような真似して、それってはっきり言ってだいぶチャラ男だしズルい男だよ、分かるー?」
「・・・」
固まってしまった傑に、僕は口角を上げた。
あと一押し…か?
「お前がそんなんならさ、俺が力ずくでもレイを奪うから。」
傑の眉間にシワが寄り始めた。
「悪いけど、俺は傑と違って、レイに見合う男だと思ってるし自分に自信持ってるから。それに……」
僕は傑をジッと見つめながら、薄ら笑って言った。