第38章 voyage ■
傑も驚いたように目を見開き、言いたいことがたくさんあるようだったが言葉が発せられないようで口を手で塞いでいる。
だから僕は急いで傑を水道まで連れて行った。
「ゲホッ…うっ…おっゴホッ…っ」
「へーきかー?
今回は結構強いの飲み込んじゃったみたいだねえ」
「……夏油くん……辛そう……」
レイは泣きそうな顔になりながらひたすら背中をさすっている。
「… レイ…き、きみは教室に戻ってていいよ…」
「え…できないよそんなのっ。」
「や…でもっ…グホッ…こんなとこ君に見られたくは…っ」
「いーじゃん傑〜。もう今更じゃん。」
笑って言う僕を傑は横目で睨んでからまた胃液を吐いた。
なんでレイを向こうへ連れて行ってくれないんだよ、私の意を察してくれよと言いたいような顔だ。