第38章 voyage ■
しかもこれがきっかけで施設送りとなり、親は娘のそういった噂に耐えきれなくなり遠い県外に移住。
なんとか夜蛾が見つけだし高専入学の許可を取りに行くと、娘のことはもう人間だと思ってないのだというような発言をされ、入学金や学費が必要ないなら今後一切関わらないでくれと言われたらしい。
傑の一言から始まった。
「悟、硝子、突然だけど、明日転校生が来るから仲良くしてあげてくれ。くれぐれもいじめないでくれよ。」
「は!なに転校生?!
つかいじめとかダセェことしねーしー」
「えってかなんで私たち知らされてないのに
夏油は知ってんのよ」
そして傑の任務先で見つけた子の話を聞いた。
「なるほどぉ。傑が子猫を拾っちゃったのかぁ」
「お〜女の子ならよかったわ〜!楽しみだなぁ」
そうして後日、夜蛾が顔色悪く傑の元へ来た。
「なぁ傑…悪いがあの子を連れてきてくれないか。俺じゃダメみたいだどうやら…」
傑に連れられてようやく教室に入ってきた神無月レイという一人の少女。
僕は一瞬固まってしまった。
「…さぁ、名前だけでいいから挨拶してみて。
みんなこう見えて良いヤツらだから大丈夫だよ。」
傑がにこやかにレイに言った。
「……あ……の…えっと…っ…
神無月レイと言います…
……よろしくお願いします…」
チラチラと視線を動かしながらそれだけ言って困ったように何度も傑の顔を伺っていた。
傑はいつもの笑みで優しく接していた。
制服似合ってるよ。なんて言われて顔真っ赤にして…
マジ傑 お前そーゆーとこだぞ。
無自覚でやるから怖えわ。
で、それっから僕も硝子もめちゃめちゃ話しかけた。
わけだけど…ひたすらオドオドしていてしかもなぜか敬語だから、もうこれは傑中心にどうにかしてもらうしかなかった。