第38章 voyage ■
2度目にレイに会った時は、もう5年くらい経ってたけど、僕にはすぐに分かった。
あの時は暗闇だったけど、僕は六眼持ちだから、顔形だけじゃなくて呪力とかまでちゃーんと見えてたから。
教室に入ってきた瞬間に、
え!あん時の姫じゃん。
マジかー…!
って心の中で叫んだけど、でも世の中、ここまでの呪力がある奴ってそういないから、
実は1度目に会ったあの時、心のどこかでまたいつか会える気がしてたんだよね。
だから僕は顔にはほとんど出なかったと思うし、レイなんて微塵も僕のことなんて知らないみたいでなんだか怯えてたし、超〜初めましての底で再会を果たしたってわけ。
ただ他のことには驚いた。
外見はもちろん少しは大人びたとは思ったけどあんまり変わってなかったし呪力のレベルは上がってたけど質もそのままだった。
ただ、何が変わったって、あの頃よりも弱々しい生気でまるで人生全てを諦めているような…
つまりあの頃よりも死人みたいだった。
傑と夜蛾が言うには、小学6年の終わり頃から今(高校1年の秋)までずっと精神医療施設で隔離状態で過ごしていた…と。
その施設との引き継ぎで夜蛾が詳細を聞いてきたところ、小学6年の終わり頃に失踪し、捜索されて丸一日後に発見…
なんとレイは本当に攫われていたらしい。
犯人いわく、声をかけたら普通について来たから連れ回していた。とのこと。
ランドセルを背負った女の子が本来学校であるはずの時間に怪しい男とうろうろしてるなんてそりゃ通報されるに決まっているが…
体を触ったりくらいは絶対にしていたはずだ。
僕はこの時初めて後悔した。
"こんなとこいたら攫われちゃうよ〜"
などと言っている場合ではなかった。
あのとき…
こいつを1人で放置していかなければ…