第37章 nightmare
「なんつーか、アラジンの生き様がかっこいいんだよ!王子ぶって気取ってるわけじゃないし、欲がないし、何事も諦めないし、ジャスミンが姫だと分かる前からずーっと一途だしさ!」
「……うん。そうだね…」
「にしても、なんっでお姫様ってピンチにばっかなるんだろーね?ピーチ姫もよく攫われるし。…あ!やっぱお前こんなとこいたら攫われるよ!」
「…っ、私は別にお姫様じゃ…」
「まぁでも平気か。結局なにがあっても最後は王子が救い出すんだもんな〜。」
「……そんなの…おとぎ話の世界だから…現実にはいない」
「そおかな?」
「…そうだよ…」
「現実にあったからおとぎ話になってるんだと思うけどなー」
「What!?……そなの?」
「お前もっと夢持てよ。冷めすぎだろ」
「だって……」
「諦めんな。」
「……え」
「幸せになることを諦めんな。って言ってんの」
「………」
「お姫様の結末は、必ずハッピーエンドって決まってんだよ。お前お姫様なんだろ。」
「……うん…」
「ならどのお姫様がいいか、今のうちに選んどけよ。」
「う、うーん…じゃあやっぱり、ジャスミン…かなぁ?魔法の絨毯に乗ってみたいし、綺麗な夜空をあんなふうに見てみたいし…」
「おっ!いーねいーね!俺もお前と王子が飛んでんの見てみたいわ!」
「それじゃあキミはまるで "空" じゃん。」
「じゃー俺がアラジンでもいいわけー?
もうこんなとこで王子見つけたら物語終わっちゃうよー?」
「……っ。」
「じゃー今日からストーリースタートね!」
「…yeah…わかった…」
「始めたら最後まで進めろよ。お前の始めた物語なんだから。」
私はその後の記憶が無い。
そのあとも、何かいろいろと話したような気はするが…
眠ってしまって、その子が大人を呼んでくれたのか、警察が駆けつけて親を呼ばれたのかもしれない。
気がついたときには……施設のベッドの上だった。