第37章 nightmare
でも私には随分幼い頃からの唯一の心の支えがあった。
私にとっての唯一のお友達。
近所に住んでいた外国人のおばあさん。
名前はイヴリンさん。
日本人の旦那さんは死んでしまって、一人暮らしをしていた。
ガーデニングが大好きでイヴリンさんのお家の庭はいつも色とりどりの花が咲いていて、おとぎ話の世界みたいだった。
淹れてくれるハーブティーや、手作りのお菓子がとってもおいしかった。
たまにカタコトだけど日本語は上手で、すごく優しくて、いろんなことを教えてくれて、本当に彼女のことが大好きで、しょっちゅう遊びに行っていた。
よく英語の本を読んで意味も教えてくれて、私はイヴリンさんに褒められたくて一生懸命英語を勉強した。
「イヴリンさん聞いて!
Peace begins with a smile.」
……平和は微笑みから始まる。
「oh...How amazing! レイ。
こないだの言葉を覚えていたのね。」
イヴリンさんは嬉しそうに私の頭を撫でた。
イヴリンさんは、私が変わり者で友達がいなくて学校でも独りぼっちであることも全部知っていた。
「私ね、お友達いなくても、仲間はずれでも、いいの。だってイヴリンさんがいてくれるし!」
「ah…でもねレイ。私も先が長くはないのよ…
いつまでもあなたのそばにいてあげることはできない。だから…強くならなくちゃね。」
「え!やだ!ずっと一緒にいてよ!」
「大丈夫よ、私がいなくても、あなたは賢くて立派なladyにきっとなる。
prettyからbeautifulになるのよ。レイあなたは幸せになりたい?」
「な、なりたいよ…」