第37章 nightmare
スっとレイの肩を押し、覆いかぶさって両肘を顔の横につく。
閉じている目はたまに苦しげにまつ毛が震え、唇は、何か言葉を発するように僅かに開いたり閉じたりしている。
今夢の中で、あいつと何をしてるんだろ?
「…… レイ」
「…う……ん……」
「…苦しい?」
「…ん……」
「そっか……僕も苦しいよ…」
頬に手を滑らせる。
あっついな……
そのまま首を撫で、鎖骨を指でなぞった。
ここまでして起きないの……
また頬に戻り、前髪をかきあげる。
額と額をくっつけて目と鼻の先で見つめた。
結局起きないね……
もうチャンスはないよ… レイ…
唇を近づけた時…
「……る…」
傑…
またそう聞こえ、フッと笑った。
いいよ。
今はまだ、あいつだと思っててくれて。
「…とる……」
「・・・」
五条はレイの口に耳を近づけた。
「…さと…る……」
「っ…?!」
は…なんで……
だってさっきまでは確実に…
「…おい… レイっ…」
「ぅ……」
「ね、起きて…」
夢の中で僕は何をしてるわけ?
あいつはどこ行ったんだ?
僕のせいで魘されてんなら
今すぐ目覚めて教えてくれ
覆いかぶさったまま肩を揺する。
「起きろ…眠り姫……!」
「っ…ぁ……」
レイの目が薄ら開いた。
レイの顔はまだ火照っていて、こちらを認識できているのかいないのか、意識はハッキリしているのかいないのか、目も虚ろだ。
「大丈夫?」
「…ぁ……っ…?」
「……すぐる王子様じゃなくてごめんね」
レイの目が徐々に見開かれ、色が差し込みだした。
「…さとる?」
「ふ……そう、
君のことがだーいすきな五条悟だよ、おはよ。」