• テキストサイズ

walking proud~呪術廻戦~R18~

第37章 nightmare


「…え……」

伏黒が声を出すのと同時に、五条はレイに唇を重ねていた。

目の前のその光景に目を丸くし固まってしまった。

五条が角度を変えてまた口付けをした瞬間、あんなに強く握っていた手が弱まったのが分かった。
まるで、大切な人とのキスに、心から安堵したかのように。

しかも…

「ん…ぅ……すぐ…る…っ」

キスの合間に漏れてきた声。
伏黒は更に目を見開いてしまった。

五条はそれをとくに気にする素振りもなく、何度も啄むようなキスを落としている。
その度に、閉じっぱなしのレイの目からは涙が零れ落ちていく。


「っ…ん…は……す…き……すぐっ……」

「…ん……レイ…」


舌の動きは全く見られない。
しかし、深くないようでいて深くも見えるそのキスは、充分に官能的な光景で、伏黒は目を逸らしたくても逸らせないでいた。


パッと唇を離した五条が、唖然としている伏黒を何事も無かったかのように見据える。


「あれ…もう大丈夫っしょ、
いつまで握ってんの恵。」


伏黒は気がついたようにゆっくりと手を離していく。
離れていく手がどことなく寂しく感じた。


「よし、と。
また世話をかけたね、恵。ありがと。
このことは…内緒ね。」

五条はレイを横向きに抱きかかえた。


「あの、先生…
あまりレイさんを1人にさせないでくださいよ。」

伏黒が鋭く睨んでくる。
五条は寂しげに笑みを浮かべた。

「…うん、分かってるよ、
恵ももう寮に戻りな。じゃね!おやすみっ!」


たちまちレイごとその場から消えてしまった。


伏黒は先程まで握られていた手の甲のプーさんを眺め、眉を顰める。

さっきまでのレイの表情も言葉も、なにもかもが何度も脳裏に反芻され、頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。
/ 1492ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp