第37章 nightmare
片手で何とか電話に出ると、五条からだった。
「…はい」
«あ、恵いまどこいるー?
寮にまだ戻ってないらしいじゃんー?»
「今 高専近くのファミレスです。
ちなみにレイさんもいますよ」
«あーやっぱりねー…
電話出てくんないからマジ焦ってた…
とりあえずよかったわ!
今行くね!!»
「えっ…」
プープープー…
来てくれるのは助かるが、この状況を見たらどう思われるだろうか?
伏黒は手を握られたまま眉を顰める。
叩き起こそうにも起こせない。
顔は見えないけれど、寝てしまっているだろう…
あれは寝言か…?
大切な人の夢を見ているのだろうか?
遠い過去の記憶がフラッシュバックしたのだろうか?
などと考えていると、五条の声が聞こえてきた。
「あ〜いたいた恵〜……んん?あれぇ?」
五条は目隠し越しにまじまじと2人の状況を見ながら驚嘆の声を上げる。
「えぇ〜っ…夜な夜な2人で手握り合っちゃってどういうこと?…え、何してたのー?」
伏黒は心底面倒くさそうにため息を吐く。
この状況をうまく説明できる自信が無い。
「…ワイン飲んで、酔い潰れちゃったみたいですよ。たった一杯だけですけど。……ちなみに手握ってるのは…離してくれないからです」
棒読みでそう言うと、五条はホントにぃ〜?などと言って2人の手を引き剥がそうとした。
「っ!んんっ?…ほっほんとだ…はは…ウケる…」
「ウケません。どうにかしてください。」
「てゆーか、なんで酒なんか飲んでんのさ?
傑の言いつけ守れよな。」
五条からも出てきた"すぐる"というその名前に伏黒は心の中で反応する。
やっぱり………