第37章 nightmare
「ありがとう伏黒くん、なんか、少しだけ…吹っ切れそう…」
「いや…無理はしなくても…」
「ううん。あ〜私、お酒飲んじゃおっかな〜」
料理をゴクリと飲み込んでからメニューをめくりだした。
「え?飲めるんですか?」
「飲んだことがほとんどないんだ。止められてたから。でも…"今"を生きるためには…新しい自分も受け入れたいの。」
伏黒は訝しげに眉を顰める。
どういうことだ?なぜ酒がそこに繋がる?
新年のお屠蘇か何かと勘違いしているのか?
それともやはり…天然?
「う〜ん…ファミレスのお酒ってよく硝子が飲んでたけど…どれがいいんだろ〜…あ〜これとか…いいかもなぁ…名前的に…」
「……本当に大丈夫ですか?」
そもそもこの人って、五条先生や硝子さんと同級生だとしても、体は完全に未成年だよな?
ていうか…この人たちの世代って皆平気で酒を煽っていたのか?
と思いながら伏黒は目線はそのままに料理を口に運ぶ。
「弱いお酒なら大丈夫でしょ!少しくらい!
あ!これにしよ〜」
そう言って、店員を呼び、なんとワインを頼んだ。
「確かワインって…かなり強いお酒の部類だと思いますけど?」
「え!そうなの?でも色合い的にジュースっぽいかなって…伏黒くんも飲む?」
「……未成年に酒を勧めないでくださいよ…」
「あはははそうだったそうだった!」
レイは満面の笑みで笑う。
元気が出てくれたなら良かった…
そう思ってひとまずは何も言わないでおいた。