第37章 nightmare
その時だった。
「…… レイさん?」
目を見開いてからゆっくりと顔を上げる。
もう当たりは真っ暗なのだと気づいた。
眉間に皺を寄せ、少し驚いたような表情をしている伏黒恵がこちらを見下ろしていた。
泣きじゃくっていたようなレイの状況に気がついたのか、ハッとして、見てはいけないところを見てしまったような、バツの悪そうな顔をした。
「……大丈夫、ですか?」
そう言っておずおずとハンカチを差し出してきた。
レイは受け取れないと言うように首を振る。
すると、なんの躊躇いもなくポンポンと頬に当てられ、涙を拭われた。
こんなことは初めてで目を丸くする。