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walking proud~呪術廻戦~R18~

第37章 nightmare



"幸せになることを諦めんな"


五条の言葉を思い出す。



諦めたくないよ…
でも…

視界が歪み、涙が零れ落ちる。

ああ…まただ……

私また泣いてるよ…

本当に…弱いなぁ……


こんな自分が心底情けなくなる。


「バカ私……弱虫……泣き虫……」


強くなるって決めたのに…


あなたがいないとこんなにダメになっちゃう…

いっそのこと、記憶喪失にでもなれればと何度も思った。
でも、それだと、
あなたの存在を全て否定してしまう気がして…


「やっぱり忘れたくない…」


ふと前を見ると、あの時2人で座っていたベンチが目に入る。

そこに、あの頃の自分と、
隣に座る彼の姿が、客観的に蘇ってきた。


初めてキスをしている2人がいる。

互いに照れたような顔を突き合わせて、
幸せそうに笑って…

好きだと言われて、
世界で一番好きだと返した。

とてつもなく幸せだった。


確かに私たちは、ここにいた。


あの頃流れていく毎日が

大好きだった。


「会いたいよ…会いたいよ…」


握りしめた拳の上にポタポタと落ちるそれは生暖かくて気持ち悪く感じた。


「今すぐ抱きしめて…傑……」


名前を口にする度に胸が痛くなり、

胸元をギュッと握って嗚咽を耐えた。


「好きって…言って…抱きしめて…」



My dream wouldn’t be complete without you in it.

さっきの本の裏表紙が脳裏に浮かぶ。

この言葉通り…


「私の夢物語は…あなたがいないと完結しないの……っ」


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