第37章 nightmare
髪を乾かし終わり、麦茶を飲んでいると、五条が風呂から上がってきた。
「また高専に戻るのー?」
「ううん、ちょっと別の用事あってね〜
そのあとはまた高専に戻って…で、」
「そっか、忙しいんだね…」
あえて何食わぬ顔で目をそらすレイの頭を五条はポンポンと叩き、顔を覗き込む。
「ごめんね?僕がいないと寂しいよね〜?」
「…別に?今に始まったことじゃないじゃん。」
レイは1人の夜が多い。
2度ほど硝子と飲みに行ったが、お酒を一滴も飲めないというか飲まないのでなんとなく硝子とクマのテンションにはついていけず、それでいて、まだまだ暗い気分が払拭できていない自分はどこかへ行く気分にもなれなかった。
「ねー!レイ今度僕と旅行行かないー?」
突然の五条の言葉に目を見開く。
「えっ、旅行?ど、どこに。」
「京都!ってか京都校に用事があんのよ!だから旅行がてらレイもついてきてよ!」
「あ〜…うん。いいけど…」
「おし!決定ね!」
私を元気づけるために提案したのだろうか?
でも一応はこれでも異性なわけだし…緊張してしまう…
そう思って眉をひそめて五条を見ると、鼻歌を歌いながら髪を乾かし始めた。
その腕にはミサンガがしてある。
さすがに自分と違って10年もしていると、紐の部分は切れたらしい。
でも水晶は割れていないから、新たに紡ぎ直したと言っていて、硝子や七海、冥冥たちも皆そうしているという。
レイはチラと自分のミサンガを見つめた。
これが割れるまで私も皆と一緒に頑張らなくちゃ…
「そういえばさー、レイ。
ずっと聞きたかったんだけど、稲妻のピアスはどこいっちゃったわけ?」
髪を乾かし終わった五条が真面目な顔をして聞いてきた。