第4章 bruise
互いに目を逸らさずにそのまま見つめあう。
初めに口を開いたのは意外にも夏油だった。
「好きな人と共有できるものが欲しいんだと言われたら、私も欲しくなったんだ。」
「…それがお前の呪霊操術でも?」
そんなのをレイと共有するなんてどうかしてる。
そう思うが、過ぎたことはもう遅い。
「こんな術式でも、彼女も私と同じように感じてくれたのなら、これ以上嬉しいものはないね。」
そうどこか遠くを見るように目を細めて呟く夏油が異様に気味悪く感じて五条は眉をひそめた。
「…あっ、そう。どうかしてるね」
「ふ…それは自覚しているから否定はしないが…
…君はどうなんだ?」
「…は?」
「君は初めて手に入らないものを見つけた。欲しくて欲しくてたまらないものが手に入らないという初めて感じる感情に支配されている君は、今、自分にかなり動揺しているんじゃないのか?」
五条の眉がぴくりと動く。
真っ黒なサングラスの向こうの碧眼は見えないが、夏油はそれすら見透かすようにジッと目を逸らさない。