第4章 bruise
「それはどうだろ?手に入らないものかどうかは分からねぇからなー。」
ニヤリと白い歯を見せはじめる五条に、ふぅとため息を吐く。
「ん…なるほど。君はなかなかに私を煽ってくれるね」
「煽ってるわけじゃない。正論を言ったまでさ。つまり傑の真似〜!」
「・・・」
夏油は無機質な顔で僅かに目を細めたあと、視線を逸らした。
「…そうか。わかった。」
悟、君は気付いているのか?
私には君のことはなんでもわかる。
自分の気持ちに気付かないふりをして、気付いた時にはまだ認めたくないとばかりに目を背けるような行動をする。
例えば、ホテルの時がいい例だ。
わざとレイと私を同室に押しやったりして、いわば自分の気持ちを試し、確認している。
そしてそこで自分の本当の気持ちを再確認することになって、徐々に自分を誤魔化せなくなって…
こうして突然ふっきれたように素直に好戦的になる。
初めから夏油傑という男しか視界に入っていないレイに対し、プライドを傷つけられた可能性もある。
そう思っていたのだが、今、わかった。
それはきっかけに過ぎなかったのだろうと。
彼女に興味を持つという、最悪のきっかけだと。
ならばこちらもとことん付き合うまでさ、悟。
プライドを傷つけられるのは私も好きではないからな。
君は最強でもなんでもない。
ただの男だ。
かく言う私もな。