第36章 inequality 【特別編】
「あ〜食った食った〜!
じゃっ!俺は行くわ!」
「えっ、早っ…
もう行くの?」
「高田ちゃんの番組の時間に間に合わなかったら大変だからな」
「録画っつー選択肢はねぇのか?」
「リアタイも録画も両方観んだよ!
舐めてんのか?!」
東堂は突然立ち上がり、何枚かの札をテーブルに置いた。
「ちょっと待って!いいよ私が奢るからっ!」
「あぁん?女に奢られるなんてわけにはいかねぇよ。
高田ちゃんも、そんな男は死んだ方がマシだと言っていた。
じゃあなブラザー!また誘うぜ?」
東堂は、上機嫌にたんたかた〜んなどと呟きながら去っていってしまった。
「勝手なやつだな…全く…
いつもあの調子なんだ……」
「だろうな。」
「京都校の生徒は皆個性的で面白いね。
なんだか楽しそうで羨ましいよ〜」
「そんなことはないです。
統一性が無さすぎて、
ただの私のストレスでしかない…」
苦い顔でそう言ってため息をつく加茂の心中を察すると少しかわいそうになった。
「お前が1番リーダーシップがあるように見える。
まぁ頑張れ。」
クマが偉そうに言ったが、確かに加茂が1番礼儀正しく、落ち着いた雰囲気を持っているし、統率力があるように見える。
「うんうん。京都校には加茂くんがいてよかったね!」
レイが笑顔でそう言うと、加茂は少しだけ照れたような表情をしてコーヒーを啜った。
「そういえば……」
声を出したのはクマだった。