第36章 inequality 【特別編】
少し会話をしてわかったのは、あの交流会から1週間近く経ったのだが、1週間は都内に滞在してもいいことになっているらしい。
しかし、ギリギリまで残ったのは東堂と加茂のみだったらしい。
東堂に関しては言わずもがなだが、加茂は都内の呪霊の質や、己の呪力向上のために普段と違う地に身を置きたかったという、なんとも勉強熱心な一面を知れた。
こういう真面目な所もあの人に似ている…と思った。
「そういえば…呪霊操術を扱える術師は今ではレイさんしかいないですよね。そもそもかなり珍しい貴重な術式ですが。」
そういった内容に興味津々な加茂の言葉に、東堂はステーキを噛み締めながら思い出したように言った。
「そういやーそうだな…
去年までいた夏油傑以来か…」
「っぐ!ゲホッ!ゲホッ!」
レイはつい咳き込んでしまった。
「大丈夫ですか?」
「あ、ん、ごめん、ありがと…」
加茂に渡されたナプキンで口を拭く。
なんとか呼吸を落ち着かせるために深呼吸をした。
やはり夏油傑のことは周知の話だったのだ。
クマはパフェを貪りながら、何食わぬ顔で言った。
「そうか、お前らも去年の百鬼夜行は知っているよな。」
「あぁ。参戦していたからな。京都にも呪霊が放たれた」
「そういえば、その時レイさんとクマさんは何をしていたんです?」
加茂のその問いには口ごもってしまった。
しかし横からクマがテキトーにはぐらかす。
「おいらたちはいろいろ忙しくて海外を飛び回っていた。
で、京都の百鬼夜行はどんなだった?」
レイは顔を歪めた。
聞きたいような、聞きたくないような…