第36章 inequality 【特別編】
最前列を陣取っていた東堂とクマは、早くも高田との握手が回ってきた。
「こんにちは〜♡♡
今日はありがとう〜!
あれぇ?こっちのクマちゃんなに〜かわいい〜!!」
「あぁ…これは…そのー……/////」
東堂はクマを高田の前を隔てているカウンターへ置くと、両手で握手をし、顔を赤らめる。
「たっ、高たんビームお願いします…/////」
「いきますよ〜♡たんたかた〜ん☆」
「わぁあ〜………/////」
目の前で高たんビームを見せられクラリと目眩を感じる東堂。
とは裏腹に、クマは不機嫌そうにカウンターの上で2人の間に佇む。
「チッ、早くしろよ」
「あっ!このクマちゃんは差し入れってことでいいのかなぁ?!私クマだぁい好きなのぉ〜♡♡リラックマとかケアベアとかスージーズーとか集めてるんだァ♡♡うれし〜!!」
そう言って高田はクマをギュッと抱き締めた。
東堂はその姿に完全に目がハートマークになり、
「気に入ってもらえてよかったぁ〜…///」
などと言ってまた握手をし、クマは顔面蒼白になる。
「おい…冗談だろ……」
「はい、お客様お時間ですー…次の方ー…」
サポーターの方によって東堂は退かされてしまった。
しばらく経って、レイたちの番が回ってきた。
レイは先程からドキドキと緊張する鼓動を抑えきれない。
「こ、こんにちは…初めまして…」
「わぁ!女の子〜♡珍しい〜っ!
来てくれたなんて嬉しいなぁ♡♡」
「あ…あ…やっぱり背がすごく高くてっ、そのっ、とっても可愛いですね」
「お姉さんの方が可愛いよぉ〜♡♡」
両手で手を握られ、顔を赤らめるレイだったが、高田のそばに置いてある超不機嫌そうなクマのぬいぐるみに驚愕する。
「な?!なななんでここに?!」
「ん?あ、これね、さっきのお兄さんがプレゼントしてくれたのっ♡♡可愛いでしょぉ〜♡♡」
次の番を待っている加茂が「あいつ……」と呟いた。