第36章 inequality 【特別編】
などと考えていたら、突然大きな歓声が響きだした。
『はいっ!みんなで〜!せっのっ♡♡』
「「たんたかた〜ん!!!!
たんたかた〜ん!!!!」」
レイも急いで叫んだ。
「たっ、たんたかたん〜!」
隣で加茂はギョッとした表情になる。
やはり思った通りだ。
この人は純粋すぎる…
ならば尚更、東堂なんかといさせるわけにいかない!
「ちょ、ちょとっ…… レイさん?」
「たんたか…あ、ほら加茂くんも一緒に言わないと!」
「えぇっ?!」
「たんたかた〜ん!!…うふふっ…ほらっ!」
レイは加茂の手を徐に掴むと、上に上げる。
「っ…たんたか……って……えぇっ……」
パチパチパチ
何度か高田ちゃんコールを繰り返されたあと、
皆の拍手が響き渡り、ひとまず一旦終了したようだ。
レイは加茂の手を握ったまま前の方へと歩を進める。
加茂は顔が熱くなりながらも引きづられるようにして着いていく。
「…あの…っ… レイさんどこへ…」
「握手会に並ばないとっ!!」
「えっ!私も?!」
「だってせっかく来たんだから!!
あ〜東堂くんとクマはどこいるんだろ〜…」
キョロキョロしながらも人混みを掻き分けていくレイに引っ張られていた加茂は、諦めたように足速にレイの隣に行った。
そしてレイの肩を抱き寄せる。
「…っ!…え」
「危ないですから。
転んだり踏み潰されでもしたら大変だ。」
肩を抱かれピッタリと密着しながら人混みの中を歩く。
レイは加茂の優しさを嬉しく思うのと同時に、少し顔が赤くなっていた。