第36章 inequality 【特別編】
「うわぁ〜めちゃくちゃいっぱい人がいる〜
やっぱり大人気なんだねぇ…」
しかし、ほぼ男性客ばかりで女性は全然見当たらない。
なんとなくレイは不安になってくる。
「よし!行くぞクマ野郎!!」
東堂は突然レイからクマを引ったくり、我先にとズンズン人混みを掻き分けて行ってしまった。
「えぇ……もおー…」
『みーなさーん!!
今日は来てくれてほんっとにありがと〜♡♡
みんなだーいすきだよ〜!!!』
「「うおおおおおおお!!!!」」
高田の声に、周りはかなり興奮状態だ。
クマと東堂は最前列へ行ってしまったのだろうか?
レイは仕方なく背伸びをしながら位置をずらしていく。
ようやく少しだけ高田が見えた。
「わぁ〜…本当に背が高いんだなぁ…
それに、やっぱり可愛いなぁ…」
レイは生の高田を見れたことにもう満足だった。
しばらくして高田は司会者とトークを繰り広げだした。
レイはスマホが鳴っていることにも気付かず、必死に背伸びをしながら耳を傾けていた。
「…… レイさん?」
突然のその声に、バッと後ろを振り返ると、なんと加茂憲紀が突っ立っていた。
「ようやく見つけましたよ。ずっと電話かけてたんですが」
「あーほんとに?!ごめん気付かなくって!」
「なぜ1人なんです?アイツは…?」
「東堂くんはクマ連れて前の方に行っちゃった…」
加茂はその言葉にみるみる眉間に皺を寄せた。
「全く…女性を1人にさせるとは何を考えている…」
「加茂くんも高田ちゃんを見に来たの?」
「……そんなわけがないでしょう。
心配だから来たんです。」
「え、あ、心配ありがとう…?」
確かに東堂はとても変わった人だとは思うが、そんなに心配されるとは少し「?」が浮かぶ。
パッと見、加茂も相当変わった人物に見えるが…
制服はなぜか水干だし……