第36章 inequality 【特別編】
そして、指定された時間にその場所へと到着した。
東堂はとっくに着いていたようだった。
「へいブラザー!…と?
神無月…レイ…?」
「あーごめんね、私も来ちゃって…
それから気軽にレイって呼んでくれていいよ!」
「…お前も高田ちゃんファンだったのか?!」
「……う、うん、まぁね…」
東堂はたちまち目を輝かせた。
満足そうに数度頷き、そして言った。
「女性ファンも多いとは流石は高田ちゃんだ」
「なぁそれよりお前、まだ京都に帰ってなかったのか?」
「あぁ。ここ1週間はまだ都内にいる。
なんたってこの日のために来たようなもんだからな!」
「……勝手な野郎だな…」
クマの呆れたようなつぶやきと共に歩を進める。
レイは先程からある人とLINEをしていた。
加茂憲紀…なんとこの人もまだ都内に滞在しているらしい。
"今日、東堂がクマとイベントに行くと言ってましたが、まさかレイさんは行きませんよね??"
"行くよ!ていうか!いま合流した所だよ!"
"なんっということだ!!!
ダメです!戻ってください!"
"え、どうして?"
〜♪
突然電話がかかってきたので歩きながら通話ボタンを押す。
«今どこにいます?東堂もいますよね?»
「あ、うん。池袋の〇〇ホールに向かってるところなんだ」
«東堂となんて…いろんな意味で危険極まりない。»
「…?…どうして?」
«どうしてもこうしても……とにかくこれは由々しき事態だ。くれぐれも気をつけてください。»
「っえー?どういう……」
«とにかくあとで合流します。»
えっ…
プープープー……
レイは一瞬目が点になったが、既に目的地に到着しており、ものすごい人集りができていて目を奪われる。