第36章 inequality 【特別編】
そうして、運ばれてきたそれらはどれも本当にデラックスサイズだった。
しかし、クマとパンダは余裕だろうと思った。
レイと狗巻は、互いにプリンアラモードをつつきあった。
目の前の狗巻が美味しそうにプリンを頬張っているのでつい本音を漏らす。
「棘くんって、スイーツが似合うねぇ。
すごい癒し系な男の子だよ〜。かわいいだけじゃ言い表せない雰囲気があるなぁ〜…」
なんだか弟にしたい気分だ。
そう思ったのだが、なぜか狗巻は照れたような顔を一瞬見せたかと思えば、眉を釣りあげて低い声を出した。
「おかかっ」
「っ??」
「男らしく見てほしいってことじゃないのか?」
パンダの一言に、狗巻はコクコクと頷いた。
「あぁ、ごめんごめん、バカにしてたわけじゃないんだよ〜!ちゃんと男の子として見てるよ!」
狗巻はまた照れたような顔になり、クリームを食べだした。
「あ、棘くんほっぺについたぁ〜」
「…?」
「ここだよ、ここ。」
レイは微笑みながら狗巻の口端に手を伸ばし、指で拭いナプキンで拭いた。
「す…じこ。」
「どういたしまして!」
ちょっと赤らんだ狗巻の顔もとても可愛いと思って笑った。
すると、狗巻がレイの首元のペンダントを指さした。
「……ん?これに何が入ってるかって?」
「しゃけ。」
レイは一瞬戸惑った。
まだ誰にも見せてはいないが、隠すということは、このペンダントの中の大切だった人に対してとても失礼な気がしてきてしまう。
「…見たい?」
「やめとけよ、レイ。
多分、めんどくせーことになんぞ。」
クマが、クリームだらけの口を横から挟んできた。
すると狗巻が抗議する。
「たかなたかなっ」
「あ?うっせーな、だいたいなおにぎり野郎、
多分お前も困ることになるだろーから言ってんだ」
「ツナマヨ!」
「なら余計に気になる、だとよ。」
パンダがむしゃむしゃ声で言った。