第36章 inequality 【特別編】
入ったカフェレストランで、メニューを広げる。
「棘くんは、甘いものは好き?」
「しゃけ!」
「なら良かったぁ〜。好きなの選んでね。」
もちろん年下のかわいい後輩には奢ろうと思っている。
高専時代の預貯金は10年経ってもしっかり残っていた。
(高専では生徒にも給金が入る。)
当然10年も手付かずだったから口座を止められてしまっていただろうと思っていたのだが、なんと夜蛾がこれまでの功績を吟味し、傀儡呪術学においての重要な人物としてレイやクマについての本を執筆し、それで入ったお金をちょこちょこ入れていたため口座は今までずっと動いていたというわけで、なんなく引き出せた上に沢山貯まっていたのだ。
「結局てめぇも来たのかよパンダ。」
「いーだろ別に〜。あ、俺これにしよ〜
3段DXチーズバーガー。」
「重すぎねぇ?!まぁてめぇほどの図体なら普通か。
じゃ、おいらはこれにする。
3種のアイスDXパフェ。」
「お前のその体でそれのが重すぎねぇ?」
レイはメニューに視線を走らせながら眉をひそめた。
「なんか…どれも大きいなぁ。
DXばっかじゃん…食べきれなそう」
「こんぶ、ツナマヨっ!」
「え?」
突然、棘が何かを伝えようとするのでレイは目を丸くしてひたすら彼を凝視する。
ジェスチャーでなんとなくわかってきた。
「おにぎり野郎…なにがなんだかおいらには…」
「棘は、一緒にシェアするかって言ってんだよな」
パンダのその言葉に、レイは「だよね!」と内心正解していたことに嬉しくなる。
「じゃー棘くん、これなんてどう?
DXプリンアラモード。」
「しゃけしゃけ!」
嬉しそうににっこりと笑う狗巻が可愛くてレイは顔を綻ばせた。
癒されるなぁと思いながら。
そもそもパンダとクマと狗巻というこの3人はなんとも癒し系だ。