第36章 inequality 【特別編】
そして訓練場へと急いで戻ったのだが、その光景に目を見張った。
なんと、クマ VS 虎杖・釘崎・パンダ・狗巻
というなんとも凄まじい戦闘が繰り広げられていた。
「おら、どうしたてめぇら。
おいらまだぜんっぜん余裕だぞ」
「くっそぉぉ〜!!」
「むっかつくー!」
「相変わらずだなもぉぉー」
「すじこぉー」
パギャン!
ドカッ!
バガガ!
余裕の表情のまま、クマが言った。
「そろそろ術式出すハンデでもくれてやるよ」
その言葉を仕切りに、
組手試合から、術式を出すレベルにまで発展していった。
「芻霊呪法……!」
「逕庭拳…!!」
「激震掌っっ!!」
「……動くな……」
棘の呪言によって、クマは0.5秒ほど動きを止めたが、目にも止まらぬ早さで一瞬にして全員の頭上へ移動していた。
「「!?」」
「はん、つまらん。
集中してんのかー?」
「…落・ち・ろ…」
ズドドド
クマは落ちたのだが、直前に呪力を溜めていたらしく、あえて落ちたことによって地表が揺らぎ、皆がぐらつき尻もちを着いた。
「……へーきかぁ?手加減して正解だったな…」
クマは何事も無かったかのように
いつの間にかレイの腕の中へ戻っている。
「くっそー…手加減されてるってのがいっちばんムカつくんだけど〜!!」
「虎杖、てめーの持つ異常な瞬発力の高さは評価するが、もしも体を負傷した場合どうするつもりだ?
通常遅れるはずのない呪力の流れが、
速すぎる身体の動きに追いつけないことで逕庭拳を発動させてんならな、通常の打撃と逕庭拳の使い分けを可能にしろ。
残念ながら特級相手にはま〜ったく通用しねぇ。」
「えぇー……そうだったんだ…」