第36章 inequality 【特別編】
レイが伏黒の部屋をノックすると、すぐに返事があった。
ゆっくりとドアを開けると、伏黒は当然驚いた顔をした。
「… レイさん?なんで…」
「伏黒くん大丈夫?まだどこか痛む?
なにか必要なものとかない?」
レイがとてつもなく心配そうな顔で駆け寄りそう言うので、伏黒は居心地悪そうに頭をかいた。
「や…別にぜんっぜん大したことないってゆーか…」
「でも顔色あんまり良くないよ?」
そう言って眉をひそめて顔を覗きこんできたかと思えば、額に手を当ててきたので伏黒は目を見開く。
「あー、熱は無いみたいだね…
よかったー…」
「……ないですよ。」
レイの手が離れたのと同時に、戸惑いを隠すように自分の額に手を置く。
すると今度はその手をバッと掴まれた。
「!?」
「あ〜また手ぇ怪我してる〜…」
「たいしたことないかすり傷ですよ」
しかしレイはその手の甲にまた絆創膏を貼り付けた。
しかもそれはあの時と同じプーさんの絆創膏だ。
「ふふ…これでよし。」
満足そうに笑って言うレイに、伏黒は苦笑いする。
「よしって…もしかしてこれを着けたいだけなんじゃないですか?」
「あ、バレた?ふははっ…
だって伏黒くんに似合うんだもんー」
その屈託のない笑みに、伏黒はまた自然と顔が緩んでしまった。
「でも…情けないですよね…
こんな怪我しちゃうなんて…」
「そんなことないよ?伏黒くんに助けられた場面は皆いっぱいあったはずだし。自信をもってよ!」
またレイは微笑んだ。