第35章 wonder
「さ、悟とは…仲良くしてたい…の…ずっと…。」
「・・・」
これ以上の関係を望んで、これ以上のことを求めたら…
いつかそれがまた…
傑の時みたいに一瞬でなくなったらと思うと…
私は今度こそ…
生きられない……
その言葉を、下唇を噛んで飲み込む。
「そっか、やっぱりレイは、
…幸せになることをまだ怖がってるんだ」
「…っ…」
その言葉に、ハッと開いた唇が震え、顔を歪める。
五条は少し冷たい目でそれを見下ろしながら、目を逸らした。
「…ごめん、言い過ぎた。」
腕が解放され、上半身を起こされる。
「ううん…私の方が…言い過ぎた…ごめん…」
「でもレイと一緒に暮らしたいから、ここにいて?」
切なげな表情で笑みを浮かべて言われ、胸が締め付けられる思いがした。
「…うん。」
「けど僕は諦めてないからね。
…僕もレイも幸せになることを。」
「…うん。」
すると、またギュっと両腕で包まれ、腰と後頭部を抱き寄せられた。
「…たまにはこうして抱き締めさせて。
ねぇ、いいでしょ?…実感して、安心したいんだ… レイがここにいるってことを。」
「……うん。」
「ありがとう…。」
すぐにまたパッと離れたかと思えば、そこにはいつもと変わらない笑みを浮かべた明るい五条がいた。
「おーし!ねぇこのホラーなんかどうー?
人造人間が町中でウイルス撒いてパニックホラーの結構えぐーいやつ!」
「っえ!嫌だあそんなの!
なんでホラーなの?面白いやつにしよ?」
何度も押し問答を繰り返した結果、結局ホラーになってしまった。