第4章 bruise
「ひゃっは!やっちまったねレイ!」
「え?…なにが?」
五条と硝子はもう任務から帰ってきていた。
高専につくやいなや、硝子が珍しくテンション高く目の前で手を握られ、意味がわからず口篭る。
五条はと言うと、サングラスをずらした隙間から見える目は見開かれていて、明らかに驚いているのがわかった。
「ね、ねぇ、なに?」
「なっ…知らぬ間に付けてしまうとは!夏油もなかなか隅に置けない男だな〜」
ケタケタと笑いながらそう言う硝子をよく見ると、目線は自分の首筋にあった。
「っ?…ちょ、ちょっとトイレ行ってくる!」
硝子の手を振り払って急いでトイレへ駆け込む。
鏡を見て目を見張った。
アザがついている…
あのとき傑はこんなの付けてたの?
初めて付けられたからこれを意味するところはよくわからないが、フツーに恥ずかしい。
コンシーラーで隠すか、絆創膏で隠すしかない。
「でもなんで皆、虫刺されとか任務でできた傷とかって思ってくれないんだろう…あの反応だと、見た瞬間からまるで全てわかったかのような…」
「当たり前でしょ!!」
突然後ろから大声が聞こえて振り返ると、やはり硝子だった。
まだニタニタ笑っている。
「それはキスマーク!もうレイったらウブなんだからっ!かっわいいなぁもぉ〜!」
そう言ってわしゃわしゃと髪を掻き回される。