第35章 wonder
その日の夜は、夜蛾、冥冥、歌姫、も含めて五条とクマと夕食を共にした。
その後、なんと合流してきた京都生徒の女性陣に、クマは連れて行かれてしまった。
主に三輪や西宮から可愛い可愛いと離してもらえず、甘いもの食べさせてあげる!などという甘い誘惑に結局クマは負けてしまったようだ。
というわけで、五条と2人きりで家に到着し、早々に入浴を済ませて今はリビングで寛いでいる。
「いやぁ〜なーんか予想外のことばっかでいろいろとめんどくさかったねえ〜」
ソファーの隣に腰掛け、麦茶を飲みながらはぁ〜とため息混じりに言う五条を横目で見る。
「んー…でも怪我をした子たちは大丈夫かな。」
「ぜんっぜん余裕っしょ。回復早いよ絶対〜
とりあえずレイに怪我なくってよかったわ〜」
「えっ、だけど伏黒くんとかすごく重症だったし心配だなぁ…」
「大丈夫大丈夫〜。ていうか…」
コトンと麦茶のコップを置き、横からグッとレイの顔を覗き込む。
「恵のことそんなに気になってるの〜?今日も随分と仲良さげにしてたし〜」
「っはあ??どういう意味ー?ただ私はこないだのお礼が言いたくて、」
「くははっ、じょーだんっ!
それよりさ〜なんか映画観よーよ。悠仁が置いてったDVD大量にあるし〜僕もまだ観てないやつばっかなんだよねえ〜」
言いながらDVDを物色し始める五条にレイは半ば呆れ声を出す。
「…元気だねぇ。今日は疲れた〜とか言って寝るのが普通の流れだと思うけど…」
「んー?あ、レイは寝たいの?じゃあ一緒に寝る?今日は2人きりなんだし〜」
その言葉に、さっきまでは微塵もなかった緊張感が一気に昇ってくる。
考えてみたら、確かに初めて五条と二人きりになっている。
しかもお互い寝巻き姿で1つ屋根の下同じ空間で夜を過ごすということをなぜだか今更になって実感してきてしまった。